診療内容

先天異常疾患

・口唇裂、口蓋裂

  約250-500人に一人の割合で発症する、比較的頻度の高い疾患です。ただ口唇を縫い合わせたり、口蓋(上あご)を縫い合わせたりするのではなく、整容的(見た目)、機能的によくなっていただくためには高度な技術を必要とします。

  当科では、お子様の出生後から(場合によっては出生前から)滋賀医科大学医学部附属病院母子診療科、小児科、耳鼻科、口腔外科と連携して治療を行います。
当科で行う一般的な治療の流れとしては、以下のようになります。

(唇顎口蓋裂の場合)

  唇顎口蓋裂(くちびる、上あご、上のはぐきが割れている)場合は、最低3回の手術が必要です。正確な時期は、担当医とお子様の成長を見て担当医と一緒に決めていきます。その他、歯の矯正やきずあとの修正、くちびるや鼻の修正、中耳炎を予防する手術が必要な場合もあります。歯や耳の治療や手術に関しては、滋賀医科大学医学部附属病院の口腔外科や耳鼻科と連携し、総合的に治療にあたります。

治療例(患者様の許可を頂いて掲載させていただいております)

手術前         くちびるの手術直後    小学校低学年時

・ 合多指(趾)症

  手の指(親指が多いです)や足の指が5本以上みられたり、隣の指と癒合している病気です。1歳くらいになってから手術をします。ただ余分の指を切り取ったりくっついている指を切り離したりするのではなく、指の運動に必要な筋肉を再建したり、指間部(指の「また」のことです)をきちんと再建したり、専門的技術が必要とされる手術です。

・ 外耳の先天異常

  小耳症(生まれつき耳がほとんどない場合から、正常の耳の半分くらいある場合まで、色々です)や埋没耳(頭の方に耳の一部が埋まっている)、折れ耳、立ち耳、副耳(本来の耳以外に、小さい耳のようなものがある)、など様々です。すべて当科にて対応しておりますので、ご心配なご両親の方はお気軽に受診してください。

皮膚および軟部組織損傷(外傷)

  交通事故や転倒、あるいは薬品、動物によって
切りきず(切創)、すりきず(擦過傷)、裂けたきず(挫創)、刺しきず(刺創)、咬みきず(咬傷)ができることがあります。これらの傷は、将来傷跡で悩まないためにも、初期の治療が大変大切です。当科ではなるべく傷跡が残らずかつトラブルなく治癒するよう、最大の注意を払って処置を行います。

やけど(熱傷)

  やけどは皮膚が高温な媒体(熱湯やヒーター等、湯気でも起こります)に接触したことによって起こります。皮膚にどの程度の深さまで熱が到達して組織がダメージを受けたかにより、
I度
II度(さらに浅いものと深いものに分けられます)
III度

に分類されています。I度やII度の浅いやけどは、保存的治療(手術をせずに)にて治りますが、II度の深いやけど、III度のやけどは手術が必要です。また小さいお子様や高齢者の方は浅いやけどであっても、入院加療が必要な場合があります。

  最近、問題となっているのが低温やけどです。カイロや湯たんぽ等、熱湯ほど温度が高くない媒体に長時間皮膚が接触することによって受傷します。一般的に治るのに時間がかかり、場合によっては手術が必要なことがあります。

ケロイド、肥厚性瘢痕

  お腹の手術や帝王切開の後などで、傷跡が赤く盛り上がってしまうことがあります。痛みやかゆみを伴ったり、そうでなくても夏場で胸の開いたシャツを着ると気になったりします。厳密にはケロイドと肥厚性瘢痕は似て非なる病態です。ケロイドは体質の要因が大きいです。
ケロイドや肥厚性瘢痕は、切除しても再発することがあり、「切らない」ことが常識とされていた時代もありました。当科では、まずステロイドのテープや注射を行い、それでも良くならない場合は手術を行います。盛り上がったきずを切除して、丁寧な縫合を行います。さらに放射線科と連携し、電子線照射を行うことで、再発の可能性を極めて低くしています。電子線照射で、「放射線がん」になった方はこれまで文献上報告されていませんので、ご安心ください。手術計画をした時点で、放射線科も受診していただき、電子線の詳しい話を聞いていただきます。

手術前           手術後(電子線照射あり)

 

皮膚および皮下、軟部腫瘍

  良性腫瘍から悪性腫瘍に対応いたします。画像診断等で、出来るだけ正確に術前評価を行ってから切除します。術前で診断のつかないできものは、病理診断をして、病理組織の専門家(病理診断医)に組織を観察して診断してもらいます。悪性の評価が出た場合は、学会のガイドラインに従って追加切除を行います。

乳がん切除後の変形に対する再建

  乳がん切除後の乳房の再建は、大きく分けて
1)自家組織による再建
2)シリコンによる再建

があります。

1)自家組織による再建

  広背筋皮弁、腹直筋皮弁、等があります。

2)シリコンによる再建

  これまで乳がんにより乳房切除を受けた方には、自家組織移植による乳房再建しか保険適応はありませんでしたが、2013年よりシリコンによる乳房再建が保険適応になりました。当診療は日本乳房オンコサージェリー学会による認定施設のみに限られますが、当科では乳腺・一般外科と連携し、大津近郊で唯一、一次一期・一次二期・二次再建すべてに対応しています。手術回数等につきましては、お尋ねください。

どちらの方法においても、美しい乳房を再建することによって乳房切除後も明るく人生を送っていだたくために、精一杯お手伝いをしたいと願っています。

リンパ浮腫

  がん等の悪性腫瘍の際にリンパ節を含めて切除してしまうため、リンパ液の流れがうっ滞し、手や足が腫れる病気です。症状が軽い場合は、医療用弾性ストッキング等で対応できますが、ひどくなると感染(蜂窩織炎)になって腫れや痛みを繰り返したりします。昨今、リンパ浮腫でお困りの方に対して、顕微鏡下でリンパ管を静脈と吻合してリンパ液のうっ滞を改善させる手術がされるようになってきました。リンパ浮腫の病態を詳細に調べるためには、リンパシンチグラフィーやインドシアニングリーン(ICG)造影が必要ですが、これらを施行できる施設は国内でも限られています。当科においては、どちらの検査も施行可能であり、詳細に患者さんのリンパの流れを評価することが可能です。その後、手術によって改善可能か診断させていただきます。この手術は非常に繊細な細い手術ですが、当科では対応可能です。

眼瞼下垂

  ハードコンタクトレンズの長年にわたる使用や、加齢によって、まぶたの筋肉(眼瞼挙筋)が「伸びて」しまうと、まぶたが瞳に垂れ下がり物が見えにくくなります。この場合、局所麻酔で手術することによって改善が可能です。

術前          術後

 

顔面骨骨折

  交通事故や転倒、激しいスポーツ等により、顔面の骨が骨折することがあります。顔面は非常に多くの骨から構成され、比較的狭い領域に骨、神経や血管、筋肉、目や鼻、口等の感覚器が詰まっています。骨折すると、整容的(見た目)に問題が生じたり、さらに口が開けにくくなるなどの機能的な問題が出てきたりします。この場合は、手術により折れた骨を修復し、チタンプレートにて固定することで改善が可能です。

手術前            手術後